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2024.03.18
●-RA(11) 2種類あるリウマチの痛み
- 関節リウマチの関節の痛みには、その原因によって大きく2つの種類があることをご存じでしょうか?
- 上の図をご覧ください。この図は発病した一人の関節リウマチ患者さんを治療せずにその痛みの経過を追った図です。
- 発病初期は関節リウマチの炎症による痛み(赤線)が主体です。患者さんは関節が腫れて痛いという症状を訴えます。例えるとねん挫した足首のような関節といえるでしょう。
- 関節の炎症は徐々にその関節の軟骨や骨の破壊(灰色線)を引き起こしていきます。炎症の痛み(赤線)が骨破壊よる痛み(青線)に置き換わっていきます。
- ただ炎症はいつまでもは続きません。焚火の火が燃える材料(炭や木)が燃え尽きてしまうと弱くなって消えてしまうように、関節の炎症も燃える材料がなくなってしまうとその炎症は終焉に向かいます。
- 炎症の後に残るのは破壊されたことで変形し機能を果たさなくなった関節です。使えなくなった関節を無理に使うことで患者さんは破壊による痛みを感じることになります。
- つまり、関節リウマチでの関節の痛みは、発病早期から中期の炎症による痛み(赤線)と中期から後期にみられる関節の破壊による痛み(青線)の2つに分けることができます。
- この痛みの原因をみきわめることは治療を考える上でも重要で、抗リウマチ薬(csDMARDs, bDMARDs, tsDMARDs)は炎症を抑え込んで炎症による痛みを軽減するとともに、後の骨破壊を防止する効果も期待できます。ただ、破壊による痛みに対する効果は期待できません。
- それに対して、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)とステロイド薬は炎症による痛みにも破壊による痛みにもある程度の効果がありますが、炎症から破壊への進行を食い止める効果は期待できません。
- さて、今あなたの目の前で痛がっているこの患者さんにどの薬を出してあげるのが正解でしょうか?