ある患者さまの退院前カンファレンスでの出来事です。
「水の入った器を、持っていただいて、歩行する訓練もしています。
こぼさず上手に、安全に、運べます。」
担当の作業療法士さんからの報告でした。
「あぁ。それなら安心!」
担当ケアマネージャーさんとMSWの私は目を見合わせました。
体調不良が続き、食事がとれなくなり、
近くの救急外来にかかり、そのまま入院ー。
自宅での一人暮らしに、ご家族や担当ケアマネさんが不安を感じ、
療養型の当院へ転院ー。『どれくらいここでおったらええん?早く家に、帰りたい…』
転院日が、退院支援のはじまり。
ご自宅での「その人らしい」生活を支えてきたケアマネさんとの
情報共有はとっても大切です。
その患者さんの、いろんな場面での、
「その人らしさ」に、しっかり、焦点をあてることができるからです。
ご高齢でありながら、ご自宅でのおひとり暮らしをされていた、
笑顔が素敵で、穏やかで、優しい印象の患者さん。
食事は、ヘルパーさんにお願いするおかずと、洗米炊飯は自分で。
たまには、カップラーメンも食べたくなって、自分で。
自分でできること、は多いけれど、
やはり、年齢を重ねるごとに、失敗もあって。
調理中にやけどをしてしまったり…
あたりまえ、にできていたことが、すこしづつ、
あたりまえ、から遠のいていく感覚の中、
「その人らしい」生活の実現に向けて、
約1ヵ月の療養生活を終え、無事に、退院される患者さん。
『長い長いと思ってたけど…ここに入院してよかった。しっかり、リハビリできて、よかった。
お世話になりました。』
その言葉を、間近で、聴かせてもらえることを、とても、幸せに思いました。
そして、その幸せを、その温度感を、
療養生活をサポートしたすべてのスタッフと、ケアマネさんに、
伝えることも、役割のひとつだと、思っています。
【MSW・北島田町子のつれづれ日記】
東洋病院で働く、MSW・北島田町子が気ままにつづるブログです。
日々の気づき・日々の感動・日々の葛藤…etc.
あらゆる”想い”を、あらゆる視点で発信していきます。